スズメのビノ

昨日の夕方、道の真ん中に坐りこむようにして、微動だにしないスズメの雛を見つけた。死んでいるのか?そうだとしてもこのままじゃ踏まれてしまうと思い、端に寄せてやろうとするとかすかに体が上下している、息をしていた.....!
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たぶんこのままこの場所に置いておいても、絶対に死んでしまうという予感、どうすればいいかとあわてふためきながら連れて帰った。 運んでも、全く嫌がらない、嫌がる元気さえないのか。

ツイッターに写真をあげると思った以上にみんなが反応してくれて、こうしたらいい、このサイトがいい、この人に聞いてみましょうと動いてくれて、最短距離でこの子を元気にする手段が手に入る。

感動と感謝で胸をいっぱいにしながら、パンと牛乳を買い、飼っているフクロモモンガのピーバが最初使っていたカゴにこの子を入れて、お水を入れて、ペットボトルにあたたかいお湯を入れてカゴに貼り付け温めた。布でこの子のまわりを覆い、さらに温める。今日はこれでしのいで、明日は県の動物の保護団体に連絡するのだ。

そうしていると次第に放り投げていた足や羽が内に入っていき、顔が上下にこっくりこっくり揺れ始めた。ご飯こそは食べようともしかなったが、これはいけるかもしれない.....と思った。ピーバはロシア語でビールという意味。じゃあこの子はロシア語でワインという意味、ビノー、略してビノでどうだろうと恋人と話し合った。ずっと「この子」と呼ぶのもなあと思って。

もしかして、ピーバにかわいい友達ができるのでは。スズメは飼っちゃいけないとかいうのもサイトで見たけど、完治するまでとかならいいよね....






次の日、ビノはひっくり返って死んでいた。




慈悲のかけらもない、ひんやりとした鉄のような現実だった。見た瞬間、声が出なくて、じっと黙ってから、ぐらぐらと気持ちが波打って、そしてすごくどうしようもなく嫌なこと言うなら、私はいつかの未来、ピーバが死んだ時を想像した。

涙をむりやりに抑え込んだ。人前に出なきゃいけない仕事があったから。目を晴らしてはいけない。大人になると、泣きたいときにも、ちゃんと泣けない。それでも勝手に目をこじあけて、涙は出る。



死、死とは?
命とは。

ビノは何度か目だって開けてくれたのに。エゴでもなんでもいい、私はこの子に元気になってほしかった。一晩だけだったけど、確かにビノは私のペットだったと思う。

泣きながらフクロモモンガのピーバをケージから出すと、彼はなんだかすごく苛立っていた。 
嫉妬だろうか、いや別の動物の匂いに威嚇をしていたんだろう。

硬くなったビノを夜、公園の木の根元に埋めた。


by iaram_no_w_9i | 2017-06-03 00:12 | エッセイ | Comments(0)